オーケストラって何だろうという、素朴な疑問を持たれたことはないでしょうか?
舞台いっぱい楽器奏者が集まって、指揮者が何やら棒を振っている。
吹奏楽とは何が違うの?
オーケストラの定義って何?とあらためて質問されるとオーケストラライフを楽しんでいる方も案外うまく解説できないかもしれません。
手っ取り早く辞書で「オーケストラ」を検索してみました。
管弦楽を多重編成で演奏する団体。現在 100名前後の大規模な編成のものが標準。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,ニューヨーク・フィルハーモニック,ボストン交響楽団のように演奏会中心に活動するもの,ミュンヘン国立歌劇場,ミラノ・スカラ座管弦楽団のように常設歌劇場専属のもの,NHK交響楽団のように放送局専属のものなどがある。
引用:コトバンク
と、説明されています。
さらにwikiでは次のように説明されていました。
オーケストラ(伊/英: orchestra[注 1][注 2])は、音楽の一種である管弦楽(管弦楽曲)、または、管弦楽曲を演奏する目的で編成された楽団(管弦楽団)を指す。日本語では後者の用法が主である。
引用:wikipedia
色んなサイトでも説明されていますが、オーケストラ、すなわち管弦楽団は、基本的に管弦楽曲を演奏する目的で編成された楽団であり、楽器編成からみれば、管楽器や弦楽器、打楽器から構成される楽団です。
というわけで、「オーケストラの楽器編成は?今更聞けないオーケストラって何?」と題してまとめてみました。
感動を与えてくれるオーケストラについて、楽器編成の視点からオーケストラの世界を早速のぞいてみましょう。
オーケストラの楽器編成は?
吹奏楽団との違い
吹奏楽団とは何が違うのでしょう?
吹奏楽団だってウインドオーケストラって言いますよね。
吹奏楽とは、吹奏楽器つまりラッパやトロンボーンなどの金管楽器、フルートやクラリネットなどの木管楽器から成る楽団です。
ですから厳密に定義と照らせば、オーケストラの楽器編成と異なります。
。。と言い切ってしまうと、吹奏楽の演奏を聞いたことのある方や、吹奏楽団の方から反発がきそうです。
そう吹奏楽には、唯一コントラバスという楽器があるじゃないかと。
コントラバスを含まない吹奏楽曲も勿論ありますが、コントラバスはチューバと共に吹奏楽では大切な低音部を担います。
コントラバスは、実はチューバよりもさらに1オクターブ低い音が出せて、吹奏楽を支える大切な最低音部を担うという役割があるのです。
また弦楽器特有のまろやかな響きにより、楽団を下支えし、まるで隠し味のような、味付けをしてくれる大変重要な楽器なのです。
ウインドオーケストラは、コントラバスの存在によって、オーケストラの定義を満たしていると言えるのかもしれませんね。
オーケストラという名前の補足
オーケストラという名前についてもう少し補足させてください。
オーケストラって、もっと広い種類の使われ方をされているような気がしますよね。
整理してみましょう。
その前に、そもそもオーケストラ自体、呼び名は交響楽団とか、シンフォニックオーケストラ、フィルハーモニーオーケストラといった言葉を思い浮かべますが、違いは何でしょう。。。?
交響楽団やシンフォニックオーケストラとは、言葉通り交響曲を演奏することを目的としたオーケストラを意味します。
一方、フィルハーモニーオーケストラという呼び名は、フィルハーモニー、つまりphilharmonicとは、音楽を愛好するというギリシャ語に由来します。
実際のところ、両オーケストラの違いは曖昧ですが、言葉の上では、明確に意味するところは異なりますね。
(両者は資金母体の違いによるという話もありますが)
又、規模の違いからいえば、例えば主に古典的な曲を演奏する小規模アンサンブルによる室内オーケストラがあります。
規模の違いであり、編成上はオーケストラに含まれますね。
オーケストラという名前について、演奏するジャンルの違いによって、例えば映画音楽関連をはじめポップス系の音楽を演奏するポップスオーケストラなどもあります。
ボストンポップスオーケストラなど有名ですよね。
ジャズオーケストラもそうですね。
又、定義上厳密にはオーケストラに含まれませんが、限定された楽器から構成される楽団をオーケストラと呼ぶケースもあります。
前述のウインドオーケストラをはじめ、マンドリンオーケストラや、クラリネットやフルート、ウクレレだけから編成される特殊な楽団が、オーケストラと称していたりします。
言葉の定義上、オーケストラには合致しないものの、音楽を演奏する楽団を広義にオーケストラと表現するケースが多いようです。
又必ずしも恒常的に存在しないオーケストラがあります。
小澤征爾が率いて世界にその名を知らしめたサイトウ・キネン・オーケストラは、毎年松本のフェスティバルにあわせて結成されるのは有名ですね。
(始めて聞いて時には鳥肌がたちました)
オーケストラの歴史
ちよっと視点を変えて、歴史的な背景からオーケストラをみてみましょう。
オーケストラは近代になって出来たものと思いがち。
しかし、実はオーケストラが生まれたのは意外にもずっと太古の時代に遡るようです。
実に新石器時代の末頃には、弦楽器も管楽器も打楽器も、今とは違うものの原始的な形で出揃っていました。
音楽は人間の本能の近くに存在することを表しているのでしょうね。
既に、古代のシュメール人やエジプト人の時代には、現代にも通じる楽器が存在しました。
管楽器ではフルートやホルントランペットがあり、弦楽器では、リラやハープ、リュートが、打楽器にはがらがらや、ベル、シンバルといった楽器がありました。
音楽は、古代ギリシャの演劇などで、重要な位置付けにありましたし、ギリシャ神話にも楽器は度々登場しますね。
紀元前、新バビロニアの王様の時代には、既に大規模な管弦楽団が存在した記録があるようです。
こんなに古い時代に大規模な管弦楽団が存在していたことに驚きますね。
一体どんな楽曲が演奏されていたのかその音色を聞いてみたい、という欲求にかられます。
どんな方法で演奏していたのでしょう。
一方、現代のクラシック音楽ですが、はるか源流に古代の流れをくむものの、音楽様式の観点では、教会で演奏されたキリスト教音楽が発展を遂げたもの。
音楽教室に肖像画のある作曲家が登場する頃、特にバッハ以降様式が確立してゆき、さらには研究に研究を重ねたベートーベンからブラームスやチャイコフスキーをはじめとするロマン派以降に現在の形が成立し、大衆化の波に乗って爆発的に発展して現代に至ります。
近代化に伴って、オーケストラの規模も貴族のサロンで演奏されていた小規模なものから大劇場でコンサートが開かれる規模の大きなものに発展、制作され、愛好者も市民に裾野を広げてゆきました。
楽譜も複雑になりました。
さらに現代から未来にかけて変化を遂げつつ時は流れています。
マーラーやストラビンスキー、さらに現代音楽の曲を聞きに行けば、ステージには大きなオーケストラのステージが配置されており、演奏前からワクワクさせられます。
大きくなるほど、音量もダイナミックに表現の幅は広くなります。
もう少し具体的に楽器編成について
オーケストラの楽器編成についてもう少し具体的に概要をみてゆきましょう。
○管編成
オーケストラの大きさは木管楽器の数によって二管編成、三管編成、四管編成と増え、管の大きさに見合った弦楽器を揃えます。
管楽器の数は、さらに倍管といって人数を二倍にしたり、アシ(アシスト)をつけたりして調整しています。
オーケストラの楽器達
一般的なオーケストラを構成する楽器は次の通りです。
弦楽器
ヴァイオリン(主旋律を担当するファーストバイオリン、和声、コーラスに当たるセカンドヴァイオリン)に分類されます。
ヴィオラ、チェロ、コントラバス
木管楽器
オーボエ、フルート、ピッコロ、クラリネット(バスクラリネット、イングリッシュホルン等音域により異なります)、ファゴット(低音域を担当するコントラファゴットなどがあります)
金管楽器
トランペット、ホルン、トロンボーン(音域によってテナートロンボーン、バストロンボーン)、チューバ、曲によってはユーフォニウム
打楽器
ティンパニー、スネアドラム、バスドラム、銅鑼、トライアングル、鉄琴、木琴、ヴィブラホン、シロフォン、カスタネット、そのほかありとあらゆるものがあります。
幻想交響曲では鐘が、チャイコフスキーの1812年では何と大砲が(さすがに一般的なコンサートでは太鼓が代用されますが)、マーラーの交響曲ではハンマーが利用されています。
編入楽器
常に出番があるわけではない楽器で、作品により登場します。
ハープ、ピアノ、パイプオルガンなど様々な楽器があります。
サックスやギターが入る場合もあります。
オーケストラの楽器は何でもありですね。
武満徹作品には、琵琶や笙などの和楽器が使われていたり、バーンスタイのウエストサイドストーリーを演奏会用に再作成したシンフォニックダンスでドラムセットが使われていたり、楽しいですね。
オーケストラはそんな様々な楽器が集合した大きなひとつの楽器と捉えても良いかもしれません。
最近はアマチュアオーケストラの腕も向上し、上級の腕自慢の集まるオーケストラでは、昔では考えられなかったようなプログラムが取り上げられています。
(練習やレッスンが大変です。。。指導も。。)
かつてはラフマニノフのシンフォニーですら演奏されることはありませんでしたが、最近ではストラビンスキー、或は現代音楽家の作品などアマチュアオーケストラでも聞く事が出来、様々な生演奏に接しやすくなりました。
アマチュアも含めれば毎週数多くの演奏会が行われていますので気軽に聞きに足を運んでみてはいかがでしょうか。
なかなか語り尽くせませんが、オーケストラの魅力をご紹介してゆきたいと思います。